その1
「だからよ。あげればいいってものじゃないのよ。適度に、花が望んだ分だけあげればいいのよ。この様子じゃ、根腐れを起こしかけているわね、きっと」
霧香は花に耳をそばだてた。
「本当だ。もう水はいらないって言ってる」
「え!?あんた、花の声が聞こえるの?・・・ちょ、ちょっと何よ」
今度はミレイユに耳をそばだてた。
そして、霧香はミレイユを抱き締めた。
「何するのよ!」
慌てるミレイユ。
「だってミレイユが、ぎゅってしてって言ったから」
「い、言ってないわよ、そんなこと!」
「でも、心の声が・・・。え?次はちゅう?」
その2
数日後・・・。
「ねえ、ミレイユ。見て。褐色だった葉が緑に戻ってるよ」
「そう。よかったわね」
「あれ?ミレイユ。手に緑の絵の具が付いてるよ」
「え!?あ、あ・・・ちょ、ちょっとね」
ミレイユは慌てて手を後ろに回して隠した。