其の三 ポッケ村にて


「はぁー」
 無事ポッケ村へと帰ることができた関羽は、集会所や狩りへ行った雪山でのことを思い出しため息を吐いた。
 しばらく集会所には近づかないでおこう。再び奴らと会った日には体が保つか分からない。それよりも今度こそは本当に自分自身が狩られてしまうかもしれない。ほとぼりが冷めるまで村のクエストで腕を磨いておこう。
 そう思った関羽はネコバァの所で新しくオトモアイルーを雇うことにし、そこを訪れた。

「おぅ、元気かいのー。今日は、クエストに一緒に連れて行けるアイルーを連れてきてやったけぇの。雇いたいアイルーがおったらゆうてつかぁさい」


雇うアイルーを選択して下さい。


名前    :リンリン   

初代旦那さん:      
オトモLV :20    
攻撃力   :300   
防御力   :200   
なつき度  :♥♥♥♥♥ 
毛並み   :赤     
性格    :関羽一筋  
攻撃系統  :妹     
攻撃傾向  :関羽のみ  



名前    :カチョウカメン

初代旦那さん:
オトモLV :20
攻撃力   :500
防御力   :
なつき度  :♥♥♥♥♥
毛並み   :
性格    :メンマ好き
攻撃系統  :一見クールそうで
       実はただの変態
攻撃傾向  :主に関羽



名前    :カリン    

初代旦那さん:
オトモLV :20
攻撃力   :250
防御力   :250
なつき度  :♥♥♥♥♥
毛並み   :金髪ドリル
性格    :関羽狙い
攻撃系統  :ツンデレ
攻撃傾向  :バランス(女限定)



名前    :シュンラン  

初代旦那さん:曹操
オトモLV :20
攻撃力   :50
防御力   :450
なつき度  :
毛並み   :漆黒
性格    :曹操一筋
攻撃系統  :一途
攻撃傾向  :曹操のみ


 迷わずキャンセルをする関羽。
「悪いのぉ。また来るけぇ、何かあったらゆうてつかぁさい。まぁ次がいつになるかぁわからんけどの」
「ネコバァ、これはおかしくござらぬか?」
「うむ、私もそう思うニャ」
 ネコバァが背負っている大きなカバンにしがみついている、どう見てもネコ耳を着けただけの趙雲としか思えないアイルーが言った。どう見ても張飛にしか思えない、どう見ても曹操にしか思えない、どう見ても夏候惇としか思えないアイルー達もいる。
「私の攻撃系統がどう考えてもおかしいと思うニャ。『一見クールそうで実はただの変態』ではニャく『変態そうに見えて実はクールな美少女』の間違いだと思うのニャが。そもそもそれがどんな攻撃系統ニャのかよく分からぬがニャ」
「そうよ、私がツンデレというのには納得できないニャ」
 曹操にしか見えないアイルーが怒り心頭で言った。
「いやいや、最終話での曹操殿のツンデレっぷりはなかなか見事であったニャぞ」
「なっ……」
 趙雲らしきアイルーの言葉に恥ずかしくて下を向き顔を赤らめる曹操らしきアイルー。やはりツンデレであった。
「そういう意味でおかしいと言ったのではなく、お主達はアイルーではなかろう」
 外れていっている話を元に戻そうと関羽が言った。
「鈴々は愛紗のオトモアイルーになるためにきたのニャー。そしたら愛紗とずーーーっと一緒にいられるのニャ」
「いや、オトモにしたところで解雇もできるのだがな」
 ぼそりと言った関羽の言葉を張飛は聞き逃さなかった。
「解雇……。鈴々を本当に解雇するニャー!?」
 瞳一杯に涙を溜め見つめてくる張飛に、関羽はまだオトモにすらしていないというのに、
「解雇などせぬから安心しろ、鈴々」
 と言ってしまう。
 ぱぁーっと辺り一面に花が咲いたような満面の笑顔をした張飛が飛びついてきて、関羽はその頭をよしよしと撫でてやった。 完全なる妹バカの関羽である。
「しかし曹操殿や夏候惇殿まで、このようなことをするとは」
「私はあなたを手に入れるためだったらどんなことでもするニャ」
「私はただ華琳様が心配でオトモしているだけなので雇わないでくださいね」
「夏候惇殿、『ニャ』がついておらぬぞ」
 趙雲が耳打ちすると夏候惇は慌てて「ニャ」と言った。
「しかしお主達、その耳といい『ニャ』って……」
「うむ、これはだなネコバァの条件なのニャ。ここに連れてきてもらう代わりに、この耳と『ニャ』をつけてアイルーになりきらニャくてはいけニャいと。それとさっきの表もネコバァが作ったものニャ。ネコバァの独断と偏見で作られているのニャ。ちなみに攻撃力は攻め、防御力は受けの割合を表しているのだと言っておったニャ」
 趙雲の説明に関羽は愕然とする。
「ネコバァもグルか……」
「星は攻撃力MAXなのニャー。その分防御力が全くないのニャ」
「うむ、そうなのニャ。これが何を意味するか分かるかニャ、鈴々?」
「はニャ〜、分からないのニャ」
「生粋のタチということニャ」
「ええーい!いらんこと教えんでいい!!」
「ちなみに愛紗、お主は攻撃力がゼロで防御力MAXだとネコバァが言っていたニャ。お主と私は相性が抜群といったところのようニャな」
「いや、それは単に勝手にネコバァがそう言っているだけで、私は別に生粋のネコというわけではない……と思うのだが」
 自信がないのか強く否定できない関羽である。
「で、愛紗は誰を選ぶのかニャ?」
 無論私だよな、というような顔をして趙雲が訊いた。
「もちろん鈴々に決まっているのニャー!ね、愛紗」
「関羽は私を選ぶに決まっているニャ」
「相性がいいのは私なのニャ。ツンデレや妹などではないニャ」
「ふんっ、ただの変態のくせに何が相性がいいニャよ。そもそもあなたは関羽とメンマ、どっちが大切だというの」
「ぐっ、痛いところを突くニャ。そういうお主とて愛紗以外にも手を出しまくっておるではニャいか」
「もてない女のひがみニャね。あなた脳みそまでメンマにニャっているんじゃニャいの?」
「何をー!!貴様、メンマをバカにするんじゃない!」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」
 なだめるように関羽が間に入ってきた。
「で、誰を選ぶニャ、愛紗?」
「で、誰を選ぶのニャ、愛紗?」
「で、誰を選ぶニャ、関羽?」
 見事に三人声がハモった。
「えっと、あの、その……」
 いきなり矛先が向けられた関羽は動揺する。
「いや、わ、私はただ普通のオトモアイルーが雇いたかっただけで……。なのになんでこんなことに?」
 ポッケ村でも関羽の安息は存在しなかった。
 受難の日々はまだまだ続きそうである。






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